Z世代の大学生×伝統産業×SDGs 継ぐモノがたり#1

2026年1月8日(木)

取組紹介

余った布が心温まるギフトに激変。地域の伝統工芸を救う二十歳の九大生のアイデアとは?
【SDGs×地方創生】

県が支援する社会課題解決プロジェクト

福岡県では、SDGs達成に向けて、Z世代が主体となって取り組む産学官連携による社会課題解決プロジェクトを支援しています。その第1号である九州大学の学生チームと宮田織物株式会社(筑後市・福岡県SDGs登録事業者)、株式会社喜多屋(八女市)、松尾和紙工房(八女市)、福岡県による産学官連携プロジェクト「継ぐモノがたり」の歩みを、これから数回にわたって皆様にご紹介します!

プロジェクトの始まり

本プロジェクトは、県が委嘱するアドバイザーであるKBCグループホールディングス株式会社 中間 雄大さんとともに、1,300社(当時)を超える福岡県SDGs登録事業者のユニークな取り組みに関する情報を洗い出し、協業先として有望な企業をピックアップするところから始まりました。協業先候補企業の絞り込みを終えると、同社グループが運営する九州のZ世代コミュニティ「UniiiQ!」を通じて、本プロジェクトを進める中心メンバーを募集。真っ先に手を挙げてくれたのが、九州大学芸術工学部3年の小野塚 ちとせさんと大木 翼さんでした。学生主体のプロジェクトとするため、最終的な協業先も二人の関心領域や問題意識を踏まえて、主体的に選んでもらうことにしました。

協業先を決定

そして、最終的に協業先として決定した宮田織物株式会社は、筑後市に本社を置く創業112年の老舗ものづくり企業。一本の糸を選ぶことから始め、デザイン、織り、裁断、縫製まで自社一貫生産で、見えない所も決して手を抜かない誠実なものづくりが同社の強み。同社の経営理念である「一隅を照らす」は、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念にも通ずるものです。筑後地域の伝統産業として地域とともに発展を続けながら、主力商品である「わた入れはんてん」は、県内外の多くのユーザーから好評を博してきました。近年では、人々のライフスタイルの変化に対応した新商品の開発のほか、福岡市内の直営店やオンラインショップでの魅力発信や販路拡大にも積極的に取り組んでいます。

織物とSDGs

織物の製造過程でどうしても避けられないのが、残糸や端切れの発生です。同社は、SDGsの視点から、残糸のアップサイクル商品「odd glove」を開発し、2022年に第24回福岡デザインアワードにおいて、金賞を受賞しました。そんなSDGsの視点を大切にする同社の吉開 ひとみ社長と営業企画部門の樋口 禎子さんは、今回の小野塚さんと大木さんからの協業の提案を快諾。小野塚さんと大木さんは、まずは工場見学をして同社のものづくりや織物業界の現状をつぶさに見ることにしました。今回のプロジェクトを通して解決すべき社会課題の本質は何なのか。それを、まずは自分の目で見て確かめたいと考えたのです。

※アップサイクル:本来は捨てられるはずのものに新たな価値を与えて、別の製品として再生すること。

工場見学

工場見学には、アドバイザーである中間さんと県の担当職員も同行。主要な商品をご紹介いただいたほか、各製造過程を実際に確認しました。他社では品番で管理することが一般的だそうですが、宮田織物のテキスタイルには、その1つ1つに名前が付いています。そんな細部にも、同社の自社商品への愛着を感じます。工場内を回っていて驚かされるのは、熟練の職人さんだけでなく、若手社員や女性社員、外国人社員など多様な人財が協力して1つの商品を作っているということ。同社の従業員平均年齢は約38歳、女性社員比率は約85%、そして外国人社員比率は約20%といいます。

見学を終えて、見えてきた課題とは

工場見学を終えて、小野塚さんと大木さんは見えてきた課題を整理し、本プロジェクトを通して解決すべき課題として次の2点を挙げました。①Z世代が宮田織物をはじめとする地元の織物や伝統産業に触れる機会が少ないこと。②宮田織物の高品質な商品は高価格帯のものが多く、Z世代が手を出しづらいこと。そして、宮田織物の強みを最大限活かしながら、同社はもちろん地域や産業も持続的に成長する未来を描くには、次代を担う若い世代に実際に手にとってもらえる商品づくりが必要だと結論づけました。

大量生産されるモノが溢れる現代社会。モノを大事にできる社会を私たちの世代から取り戻したいという思いから、プロジェクト名は「継ぐモノがたり」と命名。こうして、商品コンセプトの策定とプランの具体化、そして販売に向けたチャレンジが始まりました。

Z世代×伝統産業がコラボした本プロジェクトの今後に、ぜひご期待ください!
次回の記事もお楽しみに!

福岡県SDGs登録事業者の皆様及び本サイトの個人会員の皆様は、会員限定ページにおいて本プロジェクトの中間発表の模様をご視聴いただけます(FUKUOKA OPEN Lab+[福岡地区]学生プレゼン動画)。

-Profile-

宮田織物株式会社
福岡県筑後市羽犬塚375
電話:0942-53-5181
公式ホームページ:https://miyata-orimono.co.jp

小野塚 ちとせさん
九州大学芸術工学部未来構想デザインコース3年 埼玉県出身
大学進学を機に福岡に移住。本プロジェクトのリーダー。趣味はポッドキャスト。

大木 翼さん
九州大学芸術工学部未来構想デザインコース3年 福井県出身
大学進学を機に福岡に移住。私生活でも、はんてんを愛用中。

中間 雄大 さん
KBCグループホールディングス株式会社 経営戦略室
2013年KBC九州朝日放送入社。九州のZ世代と社会を繋ぐ共創コミュニティ「UniiiQ!」を立ち上げ、学生と共に官民連携のプロジェクトを推進。

*所属は取材当時のもの。

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